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コラム
富田 たかし先生
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「アクアライフコミュニティーが地域社会に元気と希望を与える」をテーマに、
便利さや効率を目指すことで失ってしまった私たち日本人へ、人間力向上を促す「文泳両道」で心の栄養や癒しを補給する各種オリジナル・ビタミンをシリーズでお届けいたします。
ご案内役は、テレビやラジオでおなじみの心理学者・富田たかし先生です。

今回のゲストは、新潟でスイミングを3スクール運営している株式会社ダッシュ専務取締役 桑原 進氏です。
ビタミンR(良い関係)で地域社会に元気と希望を。
水を通して、「生きがい」や「人間力向上」を還元する

のテーマでお届けいたします。

ビタミンR(良い関係)で地域社会に元気と希望を。
桑原 進氏
富田 たかし先生

人と人との「つながり」があったから再建することができた
「つながり」「絆」を事業の柱に「人間産業」としてのダッシュを確認できた

桑原氏
復興に際しては、会員の方だけじゃなくて、仕事上でこれまでおつきあい下さった方々の協力も忘れられません。プールの修復も、通常は半年以上かかる工期を、他の仕事を断ってまでして、わずか3ヶ月で仕上げてくれたんです。
富田氏
横のつながりも大切ですね。
桑原氏
そんな周りの方に助けられて、わずか再開1年で、復興前の会員数を超えてしまったんです。予想すら出来なかった現実に驚き、涙がこぼれ、スタッフみんなで感動しました。
富田氏
それはすごいことですね。
桑原氏
災害で車がダメになっても、新車を購入するんじゃなくて、中古車にして、ダッシュに月謝を払って通ってくださる方もいるほどです。こういう事実を目の当たりにすると、私たちが考えていた以上の深い人間関係が形成されていたんだなぁと、私たち自身がびっくりするんです。
富田氏
人と人の関係が、どんどん希薄になるご時世で、本当にうまくいったモデルケースですね。昨年、お伺いした時から、成功した理由をいろいろ考えてみたんですが、やはり最悪の状況の中で「やろう!」「再建しよう!」と立ち上がった勇気なんでしょうね。
桑原氏
ええ、でもいま考えると、経営者としての判断は、果たして正しかったのかどうか…。いまは、結果が得られたから、よかったといえますが、あの悲惨な状態の中で、冷静に振り返れば、経営的に失敗する結果も十分予測できたわけですから…。
富田氏
ソロバン勘定だけではないということですね。
桑原氏
そうです。貸借対照表だけで考えていたら、あの時点での再建策は出てこなかったと思います。
富田氏
そんなこと誰ができるんだ!で終わっていますよね。でも、そこで諦めなかったのは、勇気とか意思の力ですね。じゃ、その勇気や意思がどこから出て来たかっていうと、自分たちがそれまでやってきたことに価値を見いだしていたからだと思うんです。もし、損得勘定だけなら、もっと効率の良いやり方が、世の中にはいくらでもあるわけですね。
桑原氏
実は、バブルの時期に他のクラブから、「ダッシュのやり方は、泥臭い」とひどく批判された経験があるんですよ。利便性や効率を追求する時代に、泥臭く一生懸命さをアピールするのは、時代錯誤も甚だしいと・・・。確かにバブルの時代は、募集すればすぐに会員が集まったんですね。だから、ダッシュのように、会員一人一人に、手間ひまかけたやり方はおかしい。あれじゃ、周りのクラブが迷惑する、そんなことまでいわれた時期があるんです。
富田氏;わかりますね。あの頃は、どう要領よくやるかが評価される時期でしたからね。
桑原氏
そうなんです。しかも、収益的には、他のクラブの方がいいわけです。だから、よけい自分のやり方が正しかったのかなと、疑問に思ったことがあったんですね。でも、災害にあった後は、あの、地道さや一生懸命さがあったから、会員の方が戻って来てくれたんだと、少し自信がもてるようになりました。それに、昨年、富田先生に参加いただいた「ムーブ」以後、高齢者の割合が増えているんです。
富田氏
それは、すばらしいですね。
桑原氏
これは私の造語なんですが、災害の後、「水害鬱」のような状態の方が、特に高齢者に多かったんですね。高齢なのに家は失うし、生活の基盤もこわされて、これからどうやって暮らしていこうかと頭を抱える人が多かった。で、私たちは、そうした人たちを、退会リストに入れていたんです。それが、蓋を開けたら、皆さん戻って来てくださったんです。
富田氏
それは、すごいなー。
桑原氏
戻るだけじゃなくて、新しい人まで、一緒につれて来てくださったんです。
富田氏
うん。それは、自分がクラブに通って、良さを実感してるからこそ親しい人を誘えるんですね。
桑原氏
だから、それまで会員同士のつながりが“点”だったものが、水害の後は、“線”になって繋がった印象があります。
それまで、アクティブじゃない人まで、その“線”に入って来た感じがするんです。それが三条校のパワーの源泉なんだろうと……。で、それを、三条校以外の事業所にも活かそうとするんですが、そう簡単じゃないですね。
富田氏
ええ、それはなかなか容易じゃないと思いますね。とんでもない危機に直面して、みんなで一致団結して、それを乗り越える・・・危機が一種の促進剤的働きをしているわけですが、そうした効果を期待するには、やはり、日々の積み重ねが必須なわけですね。だから、三条校以外で、すぐに効果を求めても無理なんですね。特効薬のように、ぱっと効き目が現れるものじゃないんです。
桑原氏
ほんとにそうなんですねー。
富田氏
だから次のチャンス・・・それは災害のようなネガティブなこととは限らないですよ。みんなの力を結束して新しいことに臨もうといったタイミングで、団結したパワーが生まれる可能性はあるわけです。ただ、そのためには、繰り返しになりますが、日々の地道な積み重ねを大切にしなきゃいけないわけですね。だから、いま効果が見えないからと、諦めてはいけないと思います。
桑原氏
ええ、毎日、一生懸命がダッシュのテーマですから・・・。三条校と同じように、他校にも高齢者の方がいらっしゃる。でも、三条校では、その高齢者の方が、友人を誘って来てくださるのに、なぜ、他校ではそうした事例が少ないのかといったことをテーマに、よくディスカッションをしていますね。

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